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ダメージ補修・トリートメントの考え方

この記事について

今回は、具体的にエイジング毛とダメージ毛にどのように対応していくのかについてお話しします。 実は、エイジング毛とダメージ毛は、構造が似ているんです。 そのため、エイジング毛だけでなく、ダメージ毛の対処法についてもまとめてお話ししたいと思います。

エイジング毛とダメージ毛の基本

エイジング毛とダメージ毛の対策についてですが、これはイコールではありません。
エイジング毛も、ダメージ毛も、髪の毛の中に空洞ができます。
通常、髪の毛は2つのコルテックスから成り立っていますが、赤い部分に空洞ができると、クセやうねりが出てまとまりにくくなります。
ただし、ダメージ毛の場合は、「空洞」というより「ダメージホール」という名前になります。
構造は同じですが、原因が異なります。
エイジング毛は、生えてくる時からコルテックスが薄くなって空洞化することが原因です。
一方、ダメージ毛は、生えている髪の毛に後からダメージを受けることで空洞ができます。
つまり、パーマやカラーなどの施術、または日々の間違ったヘアケアによって後から空洞ができるのです。

健康毛の定義と誤解

健康毛については、別の動画でもお話ししましたが、その定義があります。

その定義は

  • 疎水であること
  • 髪の等電点であること
  • 18MEAがあること
  • 水分調節機能があること

これらが健康毛の定義です。

ただし、ツヤツヤでサラサラに見えることが健康毛だというわけではありません。
健康毛は、これら4つの条件を満たしていることです。
「クセ」があろうと、「ふわふわ」していようと、これらの条件を満たしていれば、それは健康毛です。
※一般的には、サラサラでつやつやしている髪が健康で美しい髪と定義されがちですが、私がお伝えしたいのは、これら4つの定義を満たすことの重要性です。
この点を理解いただければ幸いです。

日本のトリートメント文化の特徴と環境適応

まず、日本のトリートメントが「ガラパゴス化」しているという点についてお話しします。
海外とは、文化と髪質が全く違います。
例えば、欧米の人々は毎日シャンプーをしません。
ですので、彼らは洗浄力が基本的に強いシャンプーを使用しています。
しかし、日本では毎日シャンプーをすることが一般的です。
そのため、週に一度しか頭を洗わない人と毎日洗う人では、シャンプーの洗浄力が異なるように設計されています。

また、日本は四季があるため、髪の毛と湿度の関係が重要です。
健康毛は、水分を11%から14%に保つ調節機能を持っています。
例えば、湿度が高い梅雨の時期には、髪の毛は空気中の水分を吸収します。
そして、吸収した水分を11%から14%に保つために水分を放出します。
このように、湿度によるダメージも考慮する必要があります。

日本の気候では、髪の毛にとって最適な時期があります。
それは4月、5月、10月、12月の4ヶ月間です。
これらの月は、髪の毛にとってベストな湿度と温度を提供していると言われています。

日本の夏は東南アジアのように気温が高く湿度があり、冬は北欧のように寒く乾燥しています。
このような気候変化を1年を通して経験することで、日本は化粧品を作る能力において優れていると思います。
そのため、環境変化に適したトリートメントを作ることで、日本のトリートメント文化は他をリードしていると考えられています。
世界を見渡しても、ケラチンなど特化した成分に重点を置いたトリートメントは少ないです。
海外にも素晴らしい原材料はありますが、それをトリートメントに活用しているのは日本ぐらいだと思います。
世界中に様々なトリートメントが売られていますが、日本のトリートメント技術は世界一だと個人的に思っています。

このトリートメントの考え方について、これから詳しく説明していきたいと思います。

トリートメントの科学的アプローチ

私は常にトリートメントを「擬似的なパテ埋め」と説明しています。
具体的に、どのようにパテ埋めをしていくのかというと、ケラチンとCMCを用いるという話をしています。
このトリートメントには様々な種類がありますが、この話は美容業界のほぼ全てのメーカーで共通している内容です。

現在の毛髪科学では、このような考え方でトリートメントを行ったり、新しい製品を開発することは一般的になっています。
※1年後や2年後にはまた新しい成分や新しい考え方が出てくるかもしれません。その点はご了承ください

トリートメント成分の進化

髪の毛は80%から90%がケラチンというタンパク質で構成されています。
タンパク質の最小単位はアミノ酸です。

これらのアミノ酸の集合体を使って、私たちはPPT(ポリペプチド)というものをトリートメントに使用しています。
PPTは和製英語で、正式名称は「ポリペプチド」です。
これは美容業界では昔からよく使われています。

主成分としては、ケラチン、コラーゲン、シルクを含むPPTを混ぜながら製品を作っています。
近年では、分子量の大きさや形が異なる高分子・中分子のPPTが開発されました。

昔は、トリートメントに低分子の成分しか使用されていませんでした。
低分子は体内に入りやすく、効果が出やすいですが、すぐに抜けてしまうため、意味がないと考える美容業界の先輩方も多かったです。
しかし、この10年ぐらいで高分子ケラチンが誕生しました。
高分子と低分子の違いは、分子の大きさや形にあります。

例えば、小さなペンは髪の毛に入りやすいですが、大きなタオルは入りません。
しかし、このペンとタオルは形が異なるだけで、分子の大きさは同じです。
たとえば、1万の大きさを持つ高分子ケラチンでも、形が違えば髪の毛の穴の大きさに合わせて入りやすくなります。
このように、高分子ケラチンは髪の毛の中に入るように設計されています。

髪の毛は1本1本が非常に細かいため、大きな分子は入りにくいですが、形が違って長さが異なるため、長いものを紙に巻いてまとめるようなイメージでパテ埋めされています。
このような考え方が、現在美容業界で主流となっています。

シャンプーなどの製品についても同様ですが、製品の裏側を見ても、「加水分解コラーゲン」や「加水分解ケラチン」と書かれているだけでは、分子の大きさや形はわかりません。
これらの情報は、各メーカーに直接問い合わせるのが一番良い方法です。
製品がどのような目的で作られており、どのような分子構造を持っているかは、製造者にしかわからないからです。
裏を見ても理解できない場合は、メーカーに問い合わせることをお勧めします。

しかし、PPT(ポリペプチド)などの成分にはデメリットもあります。
一部の人にはかゆみを引き起こすことがあります。
当店のシャンプーでも、高分子ケラチンが合わないお客様がいて、痒みやかぶれを経験することがあります。
このような反応を嫌がるメーカーもあります。
そのため、ケラチンやPPTの代わりに糖類を使用することがあります。
例えばグルコースなどを用いて、擬似的なパテ埋めを行う設計の製品もあります。

トリートメント成分の効果と選択

シャンプーに使用される成分については、多糖類ではなく単糖類を使用しています。
この単糖類は、分子を小さくして髪の毛の内部にパテ埋めするために使われます。
ただし、これを効果的に行うためにはかなりの量を使用し、内部に定着させる必要があります。
そのため、このような成分を使うシャンプーは価格が高くなる傾向があります。

現場で使用してみると、かなりの量を使用しないと髪の内部に定着しないという印象を持ちます。
トリートメントをたくさん使い、よくもみ込む必要があります。
ケラチンの場合だと比較的簡単に髪の内部に入り、定着しやすく、その効果もわかりやすいです。

PPTや糖を最終的にはCMCで接着させていきます。
CMCは、セラミドとコレステロールを3で割ったものに、タンパク質を57%:43%で構成された接着剤です。
これは、コルテックスとコルテックスをくっつける役割を持ち、PPTや糖を擬似的にくっつける接着剤がCMCになります。

これらの考え方を図におこしたのが、以下になります。

わかりやすく説明するために、髪の毛に大きな穴を開けたと想像してください。
まず、この穴に高分子を入れます。
高分子はしっかりと入るのですが、まだ隙間ができます。
その隙間を中分子で埋めていきます。
高分子と中分子でも、しっかり入るのですが、それでも隙間が残ります。
その最後に、低分子を入れて、これらの隙間を完全に埋めます。
このように、木目をしっかり埋めて、CMCを使って接着することがトリートメントの基本的な考え方です。

トリートメントとシャンプーの選択と使用

一般的なトリートメントは、質感がサラサラやツヤツヤという外見的な効果を目指しており、内部に作用させるのではなく、表面の被膜コーティング剤のみで構成されています。
しかし、このような表面的な処理では、カラーの発色が悪かったり、パーマの持ちが悪くなる原因になります。
私たちが行っているトリートメントは、このような設計に基づいており、イオン結合や疎水結合など、髪の毛に吸着しにくい結合を使っています。
これにより、より深いレベルでの効果を得ることができるのです。

カラーを阻害せずに髪の毛の内部を疑似的にパテ埋めすることが可能になります。
イオン結合とは、髪の毛が傷んでしまうとマイナスに帯電します。
PPTはマイナスの電子を持っているとされ、これを誘導体によって結合させます。
代表的な誘導体はカチオン化と言われるものですが、OSであるカチオン化コラーゲンなどの他の誘導体もあります。
このような方法で、髪の毛の内部に擬似的に結合を作り、トリートメントの効果を高めるのが美容業界の一般的な技術です。

よく質問されるのですが、サロンで使用するシャンプーと市販のトリートメントを併用してもいいかという点です。
市販のトリートメントには、コーティング力が強い成分が含まれているため、PPTや高分子、中分子、低分子の成分が髪の毛に入りづらくなります。
また、CMCという接着剤が使われていないため、髪の毛に定着しなくなることがあります。
せっかく良い成分を使用しても、髪の毛の内部に作用しなければ意味がなくなってしまいます。
個人的には市販のトリートメントをお勧めしていませんが、いろいろな事情があると思いますので、サロンのシャンプーを使って市販のトリートメントを使用することも一応OKとしています。
市販のシャンプーやトリートメントはサロン用のものとは異なる考え方がありますが、それでも大丈夫だと思っています。
ただ、これらのことを知って使うのと知らないで使うのは全く違うので、意識していただければと思います。

トリートメントの最終目標と効果的な使用

トリートメントは、CMCを用いて髪の毛の内部に成分をパンパンに詰め込んでいくような設計になっています。
特にダメージ毛やくせ毛の方は、使用後の感じがわかりにくいことが多いです。
広がりやすい髪やエイジング毛を抑えたい方が多いため、CMCが多い製品が好まれます。
メーカーによって考え方やシャンプーのコンセプトが異なるため、どのように使用するかによって効果が変わってきます。
ただし、基本的にはトリートメントは「揉み込み」必要です。
この使い方について、また詳しく動画で撮影してご紹介したいと思いますので、少し待っていただければと思います。

エイジング毛とダメージ毛への総合的アプローチ

今回のエイジング毛やダメージ毛に対するトリートメントの考え方として、分子の異なるものを組み合わせてCMCで接着していくという方法があります。
これは、一般的に皆さんが自宅で行うことができるシャンプーとトリートメントの範囲内です。
シャンプーにはPPTが含まれており、トリートメントでこれを接着するのが美容室商品では主流の考え方です。
ご自宅でシャンプーを使って毛先にケラチンを与え、トリートメントでCMCで接着することを毎日継続すると効果的です。
このパテ埋めが定着しやすくなります。
重要なのは、この定着がカラーを阻害する成分ではないため、髪に悪影響を与えることはありません。

毎日のシャンプーで少しずつ取れてしまうため、補いながらケアをするのがシャンプーとトリートメントの役割です。
美容室のトリートメントもこの考え方で作られていますが、皮膜を作るだけのメーカーも存在します。
日本的には、PPTとオイルを組み合わせてCMCで接着し、18-MEAを疑似的に作る流れでトリートメントが作られています。

また、エイジング毛の対策として、オルトコルテックスとパラコルテックスのバランスを整える考え方があります。
最近では様々な髪質改善方法がありますが、私は基本的なシャンプーとトリートメントが髪質改善になると考えています。
オルトコルテックスとパラコルテックスのバランスを整えることも髪質改善の一つの方法だと思います。
エイジング毛は、疎水性の部分と親水性の部分のバランスが偏っているため、これを整えることで髪の毛を健康に保つことができます。

髪質改善についても、オルトコルテックスとパラコルテックスのバランスを整える考え方が一つの方法だと思います。
この施術は、パーマの技術として使われますが、これは完全に美容室の技術になります。
最近は、高分子ケラチンの誕生により、このような施術が可能になりました。
高分子ケラチンが開発されたことで、こういった操作もできるようになってきたのです。
技術の進化をご紹介できればと思います。

まとめ

今回の話は、エイジング毛やダメージ毛にどのように対応していくかというものでしたが、基本的にはシャンプーやトリートメントが重要であると考えています。
それだけでも十分な効果がありますが、雨や湿度に負ける髪の毛の場合は、オルトコルテックスやパラコルテックスを少し操作する施術もあります。
これは、パウダー液を使って髪質を操作するもので、髪質改善かどうかは言えませんが、ダメージを最小限に抑えて髪質を改善することが最近の技術で可能になっています。

もちろん、様々な考え方がありますので、この一つの考え方がすべてではありませんが、業界ではこの流れに沿って商品が作られているということをお伝えしたかったのです。
シャンプーやトリートメントの重要性を再認識していただければと思います。


今回のコラム内容をより詳しく知りたい方は、こちらの動画を御覧ください。

この記事を書いた人

名村 武彦 はじめまして。リベリュール・オーナースタイリストの名村(なむら)です。
リベリュールは艶やかにまとまる綺麗な髪をつくる事が得意な美容室です。髪を綺麗にするってとてもシンプルでカンタンです。
1人で悩んでいないで、ぜひお気軽にご相談下さい。 髪が綺麗になると毎日がとっても気持ちいいですよ!

はじめまして。リベリュール・オーナースタイリストの名村(なむら)です。
リベリュールは艶やかにまとまる綺麗な髪をつくる事が得意な美容室です。髪を綺麗にするってとてもシンプルでカンタンです。
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