椿油は本当に髪に良い？美容師の見解

ご質問で「毎日、椿油でケアしています。パーマもカラーもしないので良いと思っていましたが、やはりおすすめできないケアになりますか？」という内容をいただきました。

結論から言うと、椿油が悪いというよりも、“オイルケアそのもの”をあまりおすすめしていません。
理由は、髪に必要以上に油分が残ってしまうからです。

椿油が人気な理由とその背景

椿油は昔から日本人に馴染みがあり、「自然由来」「ツヤが出る」など良いイメージが定着しています。
そのため、マーケティング的にも非常に強く、「椿＝良いもの」という印象を持つ方が多いのは当然です。

ただし、美容師の立場から見ると、イメージと実際の髪への効果は別問題です。
特定の椿油商品（有名なブランドのものを指している方が多いと思います）を使っているお客様の髪を見ると、
パーマやカラーをしていなくても油分がしっかり残っているケースが多く見られます。

美容師がオイルケアをすすめない理由

私自身は、「オイルでケアをする」という発想自体をあまりおすすめしていません。

もちろん「良い」と感じて使っている方を否定するつもりはありません。
メーカーが推奨している場合もありますし、髪質との相性で調子が良い方もいます。
ただ、当店ではオイルケアをお客様におすすめすることはありません。

原液オイルはプロの現場では使わない

たとえば無印良品などで販売されているオイルを「頭皮に塗る」「脂を浮かせて取る」といったケア方法を紹介している記事を見かけます。
しかし、私たち美容業界でのオイルクレンジングは、原液オイルをそのまま使うことはほぼありません。

理由は単純で、髪や頭皮に残りやすく、乳化しにくいからです。
プロの現場では、肌や髪の油に馴染みやすく、洗い流しやすいように処方されたクレンジングオイルを使用します。
原液をそのまま使うと、どうしても「残留油分」が起こりやすいのです。

例外的に良いとされるオイルもあるが…

「ゴールデンホホバオイル」のように、体に優しいとされるオイルもあります。
ただし、私自身はそれもほとんど使いません。
オイルの重要性を感じていないからです。
それよりも、髪の目的に合ったミストタイプやエマルジョンタイプ、クリームタイプの方が理にかなっていると考えています。

オイルをつけすぎると「オイル毛」になる危険

オイルを使い続けると、髪に油分が蓄積して「オイル毛」と呼ばれる状態になることがあります。
こうなると、髪がベタつき、乾かしても乾かないような感覚になります。
洗っても落ちにくく、ビルドアップ（油膜の重なり）で髪の内部に水分が入りにくくなるため、結果的に髪を傷める原因になります。

スタイリングとしてのオイルはOK

ケアとしてのオイル使用はおすすめしませんが、スタイリング目的で使う分には問題ありません。
クセ毛のまとまりを出したり、毛先にツヤを出したりする目的であれば、効果的に使えます。
ただし、毎日のケアとして重ね塗りするのは避けた方が良いでしょう。

美容師が「オイル推し」でない理由

私はいわゆる“オイル推し美容師”ではありません。
SNSでは「オイルケア」や「ツヤ髪」がブームですが、私は肌にも髪にもほとんどオイルを使いません。
その理由は単純で、オイルを使わなくても髪を綺麗に保つ方法があるからです。

髪質に合わせたミストや乳液タイプのケア剤を使えば、油分に頼らず健康な状態をキープできます。
「オイル＝正義」という風潮に流されず、髪が本来もつ保湿バランスを整えることが大切です。

まとめ：気に入っているなら無理にやめなくてOK

「椿油は絶対ダメ」というわけではありません。
気に入っていて、髪や頭皮の調子が良ければそのまま使っても問題ありません。
ただし、「美容師としておすすめするか」と聞かれればおすすめしないという立場です。

オイルを使うことで、将来的にビルドアップや乾きにくさなどのトラブルが起きる可能性があるため、
新しいケア方法を取り入れる際は慎重に考えましょう。

今回のコラム内容をより詳しく知りたい方は、こちらの動画を御覧ください。

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