30代のお客様です。
硬毛・多毛でハチがはって膨らみ、朝帽子をかぶって落ち着かせる事が日課。

学生時代から縮毛矯正しているのですが、いつもこのの状態。
硬毛の場合、薬剤設定を強くする事が多いのですが、強い薬剤はメーカーによって過剰に反応する場合があります。

僕も昔いた美容室で高アルカリ・高還元の薬を使っていたのですが、確かにクセは綺麗に伸びます。
ですがその後の髪がボロボロでした…。
今では高アルカリの薬剤を使う事がありません。
高アルカリ・高還元の薬剤は怖くて使えなくなってしまったんです。
業界で「暴走」と表現したり「走る」と表現するのですが、強い薬剤は一旦還元がはじまるとスイッチが入ったようにその時点から暴走してしまうんですね。
ヒヤリすることが多々あるのでもう使わなくなりました。
今使っているのは低アルカリ又は中性・酸性で高還元の薬剤を使っています。
薬剤選定は技術者の考え方なので僕が正しいと言うつもりはないです。
高還元という事は還元剤がたくさん入っているという事なので、だったらアルカリを少し入れて還元剤を減らすなど他にも方法があるんですね。
還元剤もたくさん使うと残留が多くなりますし、感作性を懸念して高還元を嫌う美容師さんもいますので。
文字化するのが難しいのでうまく説明できないのですが、アルカリと還元剤を理解しないと縮毛矯正・パーマは綺麗にできないです。

こちらのお客様は高アルカリ・高還元の薬を使っていたと思います。
本当は綺麗に伸びるはずなのに伸びていません。
これはアイロン操作が悪かった、又は過膨潤したのではないかと予測できます。

毛先がチリチリになるのは薬剤が強すぎる過膨潤が原因なので、おそらく強い薬剤を使用したことが予測されます。
ストランドチェックといって、初めてのお客様は薬をつける前にどのぐらい浸透するかチェックするんですね
ストランドチェックをするとこちらのお客様はそこまで強い薬剤は必要ありませんでした。
意外と硬毛の方でも強い薬を使わなくても綺麗になります。
パーマというのは還元すればいいわけです。
だからできる限りダメージを最小限にして還元させる事を気をつけています。

ひとまずダメージ部分を切り短くしました。
ここまで縮毛矯正が綺麗にかかった事がないと喜んでいただき、これなら伸ばせそうということで1年後のアフターです。

よく言われるのですが、今まで伸ばしたくてもダメージして伸ばせなかった。

でも初めてここまで伸ばす事ができましたと喜んでいただけるお客様が多いです。

何度も言いますが
『適切な施術』と『適切なヘアケア』
で髪は必ず変わります。
例えばこちらのお客様は、僕が作ったシャンプーを使って頂いても髪は綺麗になりません。
施術が適切ではないからです。
髪が傷むギリギリのラインと、綺麗に伸びるギリギリのラインで還元させたからここまでまとまるようになりました。
お客様はわからなくていいのです。
でも僕はこの『微差』を追い求めるのがプロの仕事ではないかなと思っています。