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トリートメントで髪のダメージを補修する考え方|ダメージの仕組みと正しいヘアケア

この記事について

トリートメントによる髪のダメージ補修について、毛髪科学の観点から解説します。髪がダメージする仕組みやダメージホール、疎水毛と親水毛の違い、PPT・ケラチン・CMCを使った補修の考え方まで詳しくご紹介します。

トリートメントによるダメージ補修の考え方

今回は、トリートメントによるダメージ補修の考え方についてお話しします。

世の中には、たくさんのトリートメントが発売されています。また、美容師さんもさまざまな髪質改善やトリートメントについて発信されています。確かに、髪がツヤツヤ、サラサラになれば、見た目はきれいになります。

しかし今回は、そうした見た目だけではなく、トリートメントの理論やダメージ補修の考え方など、根本的に大切な部分についてお伝えしていきます。

まず結論からお伝えすると、トリートメントによるダメージ補修を考えるうえでは、「髪がダメージする順番」を理解することが重要です。髪がダメージしていく順番とは逆の考え方で補修していくことが、トリートメントの基本になります。

髪のダメージとは「疎水毛が親水毛になること」

ここで一度、おさらいしておきます。

健康な髪は「疎水」の状態にあり、「疎水毛」と呼ばれます。疎水とは、水をはじきやすい状態のことです。

一方、ダメージした髪は「親水」の状態にあり、「親水毛」と呼ばれます。親水とは、文字どおり水と親しい、水を吸いやすい状態です。

つまり、髪のダメージとは何かというと、「疎水毛が親水毛になること」です。反対に、トリートメントとは「親水毛を疎水毛の状態に近づけること」だと考えることができます。

これが非常に大切な考え方です。

ただ髪をサラサラ、ツヤツヤにするだけであれば、コーティングによってある程度実現できます。しかし、髪のダメージの本質は、疎水毛が親水毛になることです。

そして、トリートメントの本質は、親水毛を疎水毛の状態へ近づけていくことです。まずは、ここを理解していただきたいと思います。

パサつきやチリつきがすべてダメージとは限らない

お客様から、「髪がふわふわする」「チリチリする」「パサつく」「ツンツンする」といった状態を「ダメージ」と表現されることがあります。

しかし、髪のダメージと、こうした現象は必ずしも同じものではありません。ふわふわしたり、チリチリしたりする髪の多くは、くせ毛によるものです。また、ツンツンしている髪については、毛周期の短い髪である場合があります。

これらをすべてダメージとして一緒に考えてしまうと、ヘアケアの方法も大きく変わってしまいます。

ダメージの本質は、疎水毛が親水毛になること。そして、トリートメントの本質は、親水毛を疎水毛へ近づけていくことです。ここが非常に重要です。

髪のダメージとは「髪の内部に穴が開くこと」

では、実際に髪のダメージとは何なのでしょうか。

シンプルに覚えていただきたいのは、「髪のダメージとは、髪の内部に穴が開くこと」という考え方です。

髪の内部に穴ができることで、そこへ水が入り込みやすくなります。水を吸いやすい状態になるため、親水毛、水と親しい状態の髪になるということです。

通常の健康な髪は、髪の内部がしっかりと満たされているため、水をはじきやすい状態になっています。しかし、髪に穴ができると水を吸いやすくなり、親水化していきます。

これが、髪のダメージとして考えられている状態です。

髪にダメージを与える2つの原因

髪のダメージは、基本的に髪の外側から受けます。その原因は、大きく分けて2つあります。

「物理的なダメージ」と「化学的なダメージ」です。

物理的なダメージの代表が、摩擦や熱です。化学的なダメージの代表が、パーマ、カラー、縮毛矯正になります。

もちろん、こうした物理的・化学的ダメージを理解することも大切です。しかし、それ以上に深刻なのが「ダメージの進行」です。

このダメージの進行を防ぐことが、ダメージ補修を考えるうえで非常に重要になります。

ダメージを完全に防ぐことは難しい

物理的なダメージや化学的なダメージを防ぐために、トリートメントを使うこともあります。

しかし、たとえばパーマやカラーによるダメージについて、お客様自身で完全にコントロールすることはできません。また、摩擦や熱についても同様です。

ドライヤーを使わないわけにもいきませんし、ヘアアイロンをまったく使わないというのも難しいでしょう。つまり、日々の生活の中で、髪にはどうしてもダメージホールが生まれてしまいます。

ダメージを完全に防ぐことは、ほぼ不可能に近いと考えています。そのため重要なのは、できてしまったダメージをどのように進行させないかということです。

そこで大切になるのが、シャンプーとトリートメントです。

パーマ、カラー、縮毛矯正によるダメージを防ぐためにトリートメントを使用することもありますが、繰り返しになりますが、お客様自身ではコントロールできない部分も多くあります。

お客様自身が日々のヘアケアでできることは、「ダメージの進行を防ぐこと」なのです。

髪はどのような順番でダメージするのか

冒頭でもお話ししたとおり、髪の毛にはダメージする順番があります。その順番とは逆のことを行っていくことが、トリートメントによるダメージ補修の基本になります。

髪の内部には、メデュラ、CMC、ケラチンなどがあります。髪のダメージは、CMCが破壊され、ケラチンが流出することによって起こります。

そして、CMCを破壊する原因となるのが、物理的なダメージや化学的なダメージです。ここでは、化学的なダメージの代表例として、パーマやカラーについて考えてみます。

パーマやカラーによって髪の内部で起きていること

パーマやカラーを行う際、パーマ液やカラー剤はCMCを通って髪の内部へ入っていきます。そして、髪の内部にあるコルテックス間のCMCを通り、ケラチンにも作用しながら、パーマやカラーの施術を行います。

「破壊」という言葉を美容師が使うのは、あまり良い印象ではないかもしれません。しかし実際には、アルカリの働きによってCMCやコルテックスへ作用し、それらを溶かしながらパーマやカラーを行っています。

そうすることで、キューティクル間CMCやコルテックス間CMCが失われ、髪の内部に大きな空洞が生まれます。これが、ダメージホールの正体です。

熱によるダメージでも髪の内部は変化する

化学的なダメージだけではありません。熱によるダメージでも同じようなことが起こります。

CMCは熱に弱く、80度以上になると影響を受けやすくなります。また、髪の内部にあるケラチンも、100度を超えるような高温になると硬くなっていきます。

イメージしやすいのが、卵です。

健康な髪を生卵だと考えてください。生卵をフライパンに落として熱を加えると、目玉焼きになります。熱によって硬くなった状態が、ダメージした髪のイメージです。

さらに、そのままフライパンの上で加熱し続けると、卵は焦げていきます。髪も同様に、高温のアイロンを当て続けることでタンパク質が変性し、元の状態には戻らなくなってしまいます。

焦げてしまった卵を、生卵に戻すことはできません。それと同じように、一度できてしまった髪のダメージを完全に元の健康な髪へ戻すことはできません。

ダメージホールを放置すると髪のダメージは進行する

一度できてしまったダメージホールを、そのまま放置するとどうなるのでしょうか。

ダメージホールがある髪は、水が入りやすい状態です。そして、髪へ入った水は、当然また外へ出ていきます。

この水の出入りを繰り返すことで、一度できてしまった穴が徐々に大きくなっていきます。つまり、ダメージがさらに進行していくということです。

さらに、周囲のCMCも破壊されながらダメージが進んでいくため、ダメージホールはどんどん大きくなっていきます。そして、ほかのタンパク質やケラチンも流出していきます。

これが、ダメージの進行で最も避けたい部分です。

一度できたダメージホールを放置していると、基本的には悪化していく方向に進みます。ケラチンが流出することで穴がさらに大きくなってしまうため、この進行を止めていくことが非常に重要になります。

トリートメントはダメージの逆の順番で補修する

では、実際にできてしまった穴をどのように補修していくのでしょうか。

基本的な考え方は、「ダメージした順番とは逆のことをする」です。

美容業界で幅広く使用されている代表的な毛髪補修成分として、PPTやケラチンがあります。これらは、髪の毛を擬似的に補修するための成分です。

まず、PPTやケラチンを使って、できてしまったダメージホールを埋めていきます。

分子量の異なる成分でダメージホールを埋める

ダメージホールを埋める際に重要になるのが、分子量です。同じ大きさの成分だけを髪の内部へ入れても、どうしても隙間ができます。

そのため、その隙間を埋めるために、さらに小さな成分を入れていきます。大きさの異なる成分を目的に合わせて組み合わせることで、髪の内部を密に埋めていくイメージです。

いわば、髪の内部をパテ埋めしていくような考え方です。

ご自宅で行うヘアケアでいうと、この役割を担うもののひとつがシャンプーになります。PPTやケラチンによって、できてしまったダメージホールを埋めていきます。

そして、大きな分子だけでは隙間ができるため、その間へ中くらいの分子や小さい分子を入れ、より密に補修していきます。

PPTやケラチンをCMCによって接着する

ただし、PPTやケラチンは、それだけで髪へしっかりと定着するわけではありません。

髪にはCMCという、いわば接着剤のような役割を持つものがあります。そのため、PPTやケラチンを補ったあとに、CMCの役割を持つトリートメントによって接着していくことで、吸着性を高めていきます。

この吸着には、イオン吸着などの方法が利用されます。

ただし、こうした吸着や結合は、必要以上に長く残留するようには作られていません。なぜなら、残留性を高くしすぎてしまうと、美容師がパーマやカラーを行う際に、その施術を妨げてしまう可能性があるからです。

そのため、毎日のシャンプーとトリートメントによって継続的に補修していくことが大切です。

これが、お客様がご自宅でできるヘアケアであり、トリートメントによってダメージの進行を防ぐ考え方になります。

健康毛とダメージ毛の違い

健康な髪は、髪の内部が整い、水をはじきやすい状態になっています。しかし、髪のダメージが進行すると、ダメージホールという穴が生まれます。

そこへ毎日水が出入りすることで、髪の内部への水の浸食が始まります。そして、ダメージホールが徐々に大きくなり、さらに髪のダメージが進行していきます。

水が髪の内部へ入りやすくなるため、髪は親水毛、水と親しい状態になります。この状態が、ダメージ毛として考えられています。

そして、一度できてしまった穴を擬似的にどのように埋めるのかというのが、トリートメントの考え方です。

PPTやケラチンで穴を埋めていきます。さらに、分子量の大きなものだけでは隙間ができるため、中分子や低分子の成分も組み合わせ、髪の内部を密に満たしていきます。

そして、それだけでは十分に接着しないため、CMCによって定着させていきます。これが、ダメージ補修トリートメントの全体的な考え方です。

トリートメントは「ツヤツヤ・サラサラ」だけではない

最近では、美容師さん自身がさまざまな情報を発信する機会も非常に増えています。いろいろな方が、さまざまなトリートメント理論について発信されています。

その中で今回お伝えしたのが、髪のダメージ理論と、それに基づいたトリートメントの考え方です。美容メーカーも、基本的にはこうした考え方をもとに商品を開発しています。

一方、一般的に販売されている商品には、髪の表面をコーティングすることを中心に考えられているものもあります。そうした商品については、今回お伝えした補修理論がそのまま当てはまるわけではありません。

さまざまなメーカーが「ダメージを補修する」と説明し、それぞれ異なる理論を提示しています。その中で、髪の毛は約80〜90%がケラチンで構成されています。

そのため私は、ケラチンを擬似的に補っていくという考え方が、非常に重要だと考えています。

その考え方をもとに作られているもののひとつが、リダイヤなどのサロン専売品です。髪のダメージに悩んでいる方には、こうした考え方を取り入れたヘアケアへ変えていただくこともおすすめしています。

今回は、ダメージ補修の考え方とトリートメントの理論について解説しました。

今回も最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いいたします。

この記事を書いた人

名村 武彦 はじめまして。リベリュール・オーナースタイリストの名村(なむら)です。
リベリュールは艶やかにまとまる綺麗な髪をつくる事が得意な美容室です。髪を綺麗にするってとてもシンプルでカンタンです。
1人で悩んでいないで、ぜひお気軽にご相談下さい。 髪が綺麗になると毎日がとっても気持ちいいですよ!

はじめまして。リベリュール・オーナースタイリストの名村(なむら)です。
リベリュールは艶やかにまとまる綺麗な髪をつくる事が得意な美容室です。髪を綺麗にするってとてもシンプルでカンタンです。
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