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サロン品と市販品、シャンプーの違いとは?髪の毛の構造から徹底解説

この記事について

サロン専売品と市販シャンプーは何が違うのか。髪の毛の構造(キューティクル・コルテックス・メデュラ)とダメージホールの仕組みから、「パテ埋め」と「コーティング」という2つのアプローチの違いを美容師が分かりやすく解説します。

はじめに

今回は、サロン品と一般商品(市販品)の違いについてお話ししたいと思います。

おかげさまで、リナリアを発売してからありがたいことに、たくさんのお客様にお使いいただいております。

その中で、「サロン品とリナリア、そして市販品は何が違うのですか」というお声を数多くいただいてまいりました。これまでにもさまざまな形でお話しさせていただきましたが、今回はあらためて、サロン品と一般品の違いについて1つのテーマとして掘り下げていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

シャンプーは「コーティング系」と「パテ埋め系」に分けられる

私はいつも、シャンプーを「コーティング系」と「パテ埋め系」という2つに分類して説明しています。

一般品に関しては、そのほとんどがコーティング系のシャンプーです。というよりも、パテ埋め系の市販シャンプーはまずないと考えていただいて構いません。

一方でサロン品は、一部のメーカーを除き、ほとんどがきちんとしたパテ埋め系のシャンプーになっています。ただし、一部のサロン品メーカーにもコーティング系の商品は存在しており、サロン品だからといって必ずしもすべての商品がパテ埋めをするわけではありません。その点はやや複雑なところではありますが、大きな分類としては「コーティングするもの」と「パテ埋めするもの」という2軸で捉えていただければと思います。

そして、この違いを理解するうえで欠かせないのが、毛髪科学、つまり髪の毛の構造についての知識です。

髪の毛の構造を知る

サロン品と一般品の違いを理解するためには、まず髪の毛そのものの構造を知っておく必要があります。ここでは、髪の毛の基本構造から、ダメージが起きる仕組み、そして髪の長さを支えている繊維のつながりまで、順番に見ていきましょう。

髪の毛は三層構造でできている

髪の毛は、大きく分けて三層構造になっています。

一番外側にあるのが「キューティクル」です。その内側にあるのが「コルテックス」と呼ばれる部分で、髪の毛の大部分を占めています。そして、髪の毛の中心、断面で見たときに空洞になっている部分が「メデュラ」です。

イメージしやすいように例えるなら、かっぱ巻きの構造に似ています。外側の海苔がキューティクル、中のご飯がコルテックス、真ん中のきゅうりがメデュラ、というイメージです。

このコルテックス、つまり「ご飯」にあたる部分は、基本的に「ケラチン」というタンパク質でつくられています。髪の毛は、全体の80%から90%がこのケラチンというタンパク質でできているのです。

さらに詳しく見ると、このケラチンは細い繊維が束になったような状態で、コルテックスの中にぎっしりと詰まっています。この繊維の束は「フィブリル」と呼ばれています。

ケラチンは、それ単体ではくっつき合うことができません。そのため、1本1本の繊維を接着する役割を持つ成分が必要になります。この接着剤の役割を果たしているのが「CMC」という脂質で、髪の毛全体の10%前後を占めています。

これが、髪の毛の基本的な構造です。

ダメージによってできる「ダメージホール」

髪の毛は、ダメージを受けると、この構造にぽっかりと穴が開いてしまいます。この穴のことを「ダメージホール」と呼びます。

ダメージホールができることによって、髪の毛は変形し、いびつな形になっていきます。これが、ダメージによって生じる「うねり」や「クセ」の正体です。これは毛髪科学の分野で一般的に言われている、髪の毛の構造とダメージのメカニズムになります。

このダメージによってできた穴を、擬似的に埋めていく行為のことを「パテ埋め」と呼びます。一方で、この穴を埋めることなく、表面に被膜だけを張ることを「コーティング」と呼びます。

これこそが、サロン品と一般品の最も大きな違いです。

髪の毛の長さを支える繊維のつながり

髪の毛は、当然ながら短い1本の繊維だけでできているわけではなく、細い繊維が縦につながっていくことで、あの長さを形成しています。

1本1本の髪の毛を拡大していくと、ケラチンの繊維同士が接着することによって、髪の長さが保たれていることが分かります。

髪の毛を引っ張ると、ぐっと伸びる感覚があると思います。これは、繊維同士の接着部分がしなやかに伸びることによって起こる現象です。髪の毛は縦方向、つまり引っ張る力には比較的強くできています。

その一方で、横方向の力には弱く、横に裂くように力を加えると、ペリペリと簡単に破れてしまいます。タオルドライの際に「摩擦をしないでください」とお伝えしているのは、まさにこの横方向の力に弱いという性質があるためです。

また、髪の毛を強く引っ張り続けると、繊維の接着部分がブチッと切れてしまい、髪の毛自体が切れてしまう「断毛」という状態につながります。

まとめると、髪の毛は三層構造(メデュラ・キューティクル・コルテックス)でできており、ダメージを受けるとダメージホール(ボイド)という穴ができ、そこがへこむことでクセとして現れます。そして、その穴を「パテ埋め」するのか「コーティング」するのかという違いが、サロン品と一般品を分ける大きなポイントになるのです。

なぜコーティング系のシャンプーは避けたほうがいいのか

髪の毛の構造とダメージホールの仕組みを踏まえたうえで、ここからはサロン品がどのようにこのダメージホールにアプローチしているのかを見ていきます。

サロン品はダメージホールを補修成分で埋めていく

髪の毛がダメージを受けると、先ほどお話しした通り穴が開いてしまいます。この穴があることによって、手触りが悪くなってしまうのです。

サロン品では、このダメージホールを、髪の毛の擬似的な補修成分である「ケラチンPPT」や「CMC」といった成分で埋めていきます。

ケラチンは髪の毛の構造そのものを80%から90%構成しているタンパク質です。一方でPPTとは、アミノ酸の集合体である「ポリペプチド」の略称です。これは和製英語のような使われ方をしている言葉ですが、美容業界では「シルクPPT」や「コラーゲンPPT」といった形で一般的に使われています。

これらはケラチンとは少し性質が異なります。シルクはサラサラとした手触りをつくり、コラーゲンはしっとりとした質感をつくり、ケラチンは髪にハリを与えてくれます。求める仕上がりの質感によって、これらをバランスよく配合していくのがサロン品の考え方です。ケラチンだけを配合すると髪が硬くなりすぎてしまうため、PPTでその性質を補っていくのです。

これは、サロンで行うトリートメントの考え方とまったく同じです。ダメージホールにケラチンやPPTを埋め込み、CMCという接着剤でそれらをしっかりと定着させていきます。

補修成分は髪の表面や頭皮にも残る

これらの補修成分は、ダメージホールの内部だけでなく、髪の表面や頭皮にも残ります。そのため、シャンプーにこうした成分をあまりたくさん配合してしまうと、頭皮がべたついたり重く感じられたりすることがあります。

そこで一般的には、シャンプーにはCMCをそれほど多く配合せず、ケラチンやPPTを中心に配合し、トリートメントにケラチン・PPT・CMCの3つをしっかりと配合することで、より強く接着・補修していくという設計になっています。

あえて「落ちる」ように設計されている理由

ここで、非常に大切なポイントがあります。それは、これらの補修成分が髪の毛にずっと残留し続けてしまうと問題が起きるということです。

美容師はパーマやカラーといった技術を提供する仕事をしています。補修成分が髪の毛に残留し続けてしまうと、パーマ液やカラー剤といった薬剤が髪の内部に浸透しにくくなってしまうのです。

そのため、サロン品は次に使うシャンプーで適度に洗い流せるように設計されています。これは「疎水結合」や「イオン吸着」といった、比較的弱い結合によって髪の毛に留められているためです。

つまり、サロン品のシャンプーやトリートメントは、成分をすべて髪に留め続けるのではなく、日々のケアの中で少しずつ穴を埋めていきながらも、パーマやカラーの浸透を妨げないように設計されているのです。これが、サロン品のシャンプー・トリートメントの仕組みになります。

一般品(市販品)はどう作られているのか

ここまではサロン品の考え方を見てきましたが、対照的に一般品(市販品)はどのような設計思想でつくられているのでしょうか。

植物油・保湿剤・香料でコーティングする設計

一方で、一般的な市販商品は、植物油や保湿剤によって髪の毛の表面をコーティングしていくという考え方でつくられています。

さらに近年では、「香水シャンプー」という名前で、香りが髪に長く残ることを売りにした商品が市場で好まれる傾向にあります。こうした植物油、香料、保湿剤によって、髪の表面はどんどんコーティングされていきます。

特に植物油と香料は、非常に髪から落ちにくいという特徴があります。香りを持続させるために「香水シャンプー」として販売されているものは、そもそも髪に成分が残り続けるように設計されているのです。特に近年はこの傾向が強く、香りがなかなか落ちないシャンプーが数多く見られます。

また、質感を重視するために植物油を多く配合している商品も多く、これが落ちにくいことで、使い続けるうちに油分がどんどん層になって蓄積していきます。この状態を、美容業界では「オイル毛」と呼んでいます。別の言い方をすると「ビルドアップ」という現象です。

ビルドアップが招くパーマ・カラーへの悪影響

もちろん、サロン品であってもビルドアップが起こることはあります。しかし一般商品の場合、髪の毛の補修とは関係のない成分がどんどん蓄積していくため、パーマやカラーの薬剤が浸透しにくくなったり、カラーの色持ちが早く悪くなったり、パーマの持ちが早く取れてしまったりする原因になります。

実際に、市販のシャンプーと植物油を使って10回洗った髪の毛と、サロン品で10回洗った髪の毛、それぞれにパーマをかけて比較する検証を行ったことがあります。結果は一目瞭然で、パーマのかかり方にはっきりとした差が出ました。市販品と植物油を使った毛束は、サロン品を使った毛束に比べて、パーマの薬剤がうまく浸透せず、かかりが大きく劣っていたのです。

この理由は、植物油や香料がビルドアップしてオイル毛の状態になることで、パーマ剤の浸透そのものを阻害してしまうためです。この結果からも、サロン品と一般品では、そもそもの作り方の思想が根本的に異なることがお分かりいただけるかと思います。

サロン品と市販品、結局何が違うのか

髪の毛をサラサラにしたい、しっとりさせたい、と考えたとき、最も手っ取り早い方法が「コーティング」です。表面に被膜を張ってしまえば、一時的には手触りが良くなったように感じられます。

しかし、先ほどお伝えした通り、コーティング成分はどんどんビルドアップし、髪に強く吸着していきます。そして、この吸着した成分がキューティクルと一緒に剥がれ落ちてしまうことで、使う前よりも髪が傷んでしまうという現象が起こるのです。

これこそが、市販品とサロン品の最も大きな違いです。市販品は使い続けていくうちに、いずれどこかのタイミングで手触りが悪くなってしまいます。2〜3ヶ月使い続けたころに「このシャンプー、自分に合っていないのかもしれない」と感じ、また違うシャンプーに切り替える、という方も少なくありません。実はこれこそが、シャンプーが「合わなくなる」理由の1つなのです。

一方でサロン品の場合、使い続けていただくことで、髪のダメージの緩和やクセの緩和がある程度期待できます。市販品とサロン品では、そもそもの設計思想がまったく異なるのだということを、ぜひご理解いただければと思います。

これ以外にも、「髪を疎水化していく」といったさまざまな考え方が存在しますが、今回は「パテ埋め」と「コーティング」という2つのアプローチの違いについてご理解いただければ幸いです。ぜひ参考にしていただけたらと思います。

今回も最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いいたします。

この記事を書いた人

名村 武彦 はじめまして。リベリュール・オーナースタイリストの名村(なむら)です。
リベリュールは艶やかにまとまる綺麗な髪をつくる事が得意な美容室です。髪を綺麗にするってとてもシンプルでカンタンです。
1人で悩んでいないで、ぜひお気軽にご相談下さい。 髪が綺麗になると毎日がとっても気持ちいいですよ!

はじめまして。リベリュール・オーナースタイリストの名村(なむら)です。
リベリュールは艶やかにまとまる綺麗な髪をつくる事が得意な美容室です。髪を綺麗にするってとてもシンプルでカンタンです。
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